こんばんは。12/23のアドベントを担当しますurokogumoです。
ぽっぽアドベントの参加は今回で4回目です。
2019年はハイローの轟のこと。
2020年は前田公輝さんの初写真集、Podcast『OVER THE SUN』、Netflixドラマ『保健教師アン・ウニョン』について。
2021年は女性芸人とオアシズの大久保さんが素晴らしかった映画『浜の朝日の嘘つきどもと』について。
年末になるとどうにも焦燥感にかられますが、ぽっぽアドベントのおかげでリボンをほどいて箱をあけるようにアドベントを読むことができて毎日ワクワクしています。さて私のNEW WORLD。
・空気階段の踊り場
私は朝起きるとすぐラジオをつけ、メイク中、通勤中、就寝前、SNS中と暇さえあればなんらかの周波数を受信している。以前から聞いている番組は継続してマイペースに聞いているが、空気階段の踊り場は今年から聞き始めた。
空気階段を知ったきっかけはテレビで見た「定時制高校」のコントだった。
定時制高校の生徒ハルト(もぐら)の声はだみ声すぎて全く聞き取れないのだが、そんなハルトを同じクラスのアオイ(かたまり)は気になっており、授業中こっそり手紙のやりとりする。ハルトの声はなぜか手紙のなかでもノイズまみれだが、アオイは彼の言葉を理解することができる。最後に手紙を折りたたむ、かたまりの丁寧な手つきが胸に残った。
空気階段の単独ライブツアーに行きたいと思ったが、大人気ゆえに希望公演はとれず、思い切ってずっと行きたかった岡山へ旅行も兼ねて遠征した(岡山はかたまりの故郷である)ライブは本当に素晴らしく、ずっと笑いっぱなしで最後のコントは思わず胸がぐっとなった。遠出して良かったなと思った。会場は川にほど近い市民文化ホールで終演後、かたまりは「僕は小さい頃ここでムーミンをみました」と話していた。
空気階段のラジオは二人が色々ダメであることはさておき、圧倒的にチャームがあり、下ネタは多いが、女性蔑視の話はほぼなく、聞いていてストレスが少なく、お互いの話に対して聞き上手であるところも好きだった。そして二人とも恋というものを心から信じているんだな、ということをラジオや単独公演から感じた。番組開始時はアルバイトをしていた2人もキングオブコント優勝、結婚や離婚などライフステージの変化もリアルタイムで流れるので大河ドラマを見てるような気持ちになる。でも二人が楽しかったや面白かった、と話すことがいつも瑞々しいのは変わらない。もぐらが大阪芸術大学の寮の思い出を語る話が特に好きだ。
初めての岡山は、酷暑で予定通りに巡ることはできなかったが、岡山駅の回りの小さなお店、素敵なミニシアター、美術館など気になるものがたくさんあったので機会があったらまた行きたい。私は旅行と同じくらいお土産を見ることが好きなのだが、岡山駅では名物のお菓子がばら売りされていて色々買えてとても嬉しかった。
今年放送された『犬神家の一族』のロケ地となった吉備津神社の長い回廊。
新幹線の駅のホームで食べたぶっかけうどん。もちもちでおいしい。テイクアウトして新幹線のなかで食べることも可能。
カキオコとホルモン焼きうどんを天秤にかけて後者に。鉄板から食べる焼きうどん最高。
帰りの新幹線に乗る前に滑り込みで食べた桃のパフェ。
私は大九明子監督が大好きなのだが、作品の特徴としてお笑い芸人がよくキャスティングがされるというのがある。ドラマや映画に出るお笑い芸人は、コメディパートを担うことが多いが、大九監督作のなかでは芸人の根っこのチャームが発揮されていると感じる。本人役で出ていることも多く、2022年の『ウェディング・ハイ』には空気階段が本人役出ていた。劇中の登場人物が空気階段のローカル番組を手がけている設定で、終盤、二人が何気なく再登場するのだが、それまでの物語の流れで、二人が笑顔で発する言葉にぐっときてしまった。なんてことない台詞でそれまでも劇中で繰り返されてきた言葉なのだが、ラジオで感じる下手くそでもダンスを続けるような2人の人間賛歌が溢れていた。大九監督は今年「家族だから愛したんじゃなく、愛したのが家族だった」の脚本・演出を手がけており、こちらにはトレンディエンジェルのたかしが本人役出てていたのだがそちらもとてもよかった。
・ゆっきゅん『日帰りで』
宇多田ヒカルの「Making Love」という歌がある。
眩しさや高揚感を感じるようなメロディ、最後は木漏れ日のなかで微睡むようと終わっていく曲で歌われている内容は遠い地に引っ越してしまう友人への想いを歌ったものだ。私は歌詞を読んだとき、日本の曲で友情の歌があるんだと思った。私が知らなかっただけかもしれないが、私が触れてきたものは大体恋愛を歌ったものだった。そして他にも友情の歌があるといいなと思っていたとき、出会ったのがゆっきゅんの『日帰りで』という曲だった。知ってからほぼ毎日聞いていた。
ゆっきゅんは先の空気階段のかたまりと同じく岡山出身のDIVAでアトロク(※1)経由で名前だけは知っていたが、本格的に知ったのはPodcast番組『Y2K新書』(※2)だった。「隕石でごめんなさい」が配信されたタイミングでそのキャッチーな曲と歌詞に惹かれ、その流れで『日帰り』を知りそれからほぼ毎日聞いていた。
なんか誰かのカラオケ履歴
眺めてるみたいな 人生だったの
つまんなかったよ 君と会うまで
荷物が多い 君と会うまで
引用元:ゆっきゅん『日帰りで』
荷物が多い君、と友だちを表すところに相手への愛おしさを感じるし、落ち込む友人にハグでもなく、ハンカチを差し出すでもなく「この店を変な空気にしていいよ」というところが優しい。プラットホームでアイスクリーム食べて踊って海にいってiphone投げて拾って夜と朝の合間の青く澄んだ空気のなかで海岸沿いを歩く二人の景色。
大丈夫 妙な道をまっすぐ行けば
引用元:ゆっきゅん『日帰りで』
初めて友人と行ったゆっきゅんのライブ会場は、心の安全を感じる空間だった。歌もパフォーマンスもMCも最高で、機材トラブルもトークで繋ぎ、この人は瞬きしてる間にスターになってしまうだろうなと思った。当日披露されたラブリーサマーちゃんのリミックスver『
この曲をエンドロールにした最高のシスターフッド邦画が見たい。写ルンですでキャスト同士が撮り合った写真がスタッフロールと一緒に出てくるやつ。アンコール『日帰りで』を歌う途中、ゆっきゅんが舞台からとん、と飛び降りた瞬間、『けいおん』の最終回の卒業ライブで唯ちゃんが机で作ったステージから飛び降りたときのような瞬間最大風速を感じた。ゆっきゅんは観客の間に自然にできたランウェイを練り歩き「気圧を私があ・げ・る!」とみんなが声をそろえた瞬間をスポットライトが照らしていて、私は煌めくこの空間をずっと覚えていたいなと思った。走馬灯を自分でマッシュアップできたら絶対に入れようと思った。それから自分も手を動かして何か作りたいと思う衝動もあった。公演後、参加したチェキ会で「Y2K新書でゆっきゅんを知りました」と話したら「ありがとー」とチェキに「Y2K新規」と書いてくれた。
財布にいれっぱなしの古いカードのような「当たり前」を差し出し続けるこの社会で自分の形を知ることはすごく難しい。長い間「これ以外は不正解なのか」という気持ちにされ、自責に費やされたことは不愉快でどうやれば復讐できるのかと時々考える。多分それは、このまま生き残ることだと思う。そしてゆっきゅんのような歌に巡り会うと、目の前が灯るように感じる。
さて明日12/24はちゃんあずさんです!一段と寒くなってきましたので皆様どうぞご自愛ください。そして良いクリスマスを!
※1 TBSラジオ番組『アフター6ジャンクション』現在は放送時間が変わり『アフター6ジャンクション2』として放送中
※2 小説家の柚木麻子、振付師の竹中夏海、DIVAのゆっきゅんの3人がY2Kに対する愛を語るトークPodcast番組。全11回と真夏のSP後、惜しまれながら一旦最終回を迎えた。